17人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっちする?」
「はッ!?」
突拍子もなく言うもんだから、思わず耳を疑いたくなった。
「だから、えっちする?」
「何言ってんだよ!」
「そのかわりお金ちょうだい」
「…意味分かって言ってんのか?
援助交際って言うんだぞ!」
「だってアタシお金持ってないんだもん」
仕方ないでしょ。と言いたそうな口調に、酔いが醒めたかと思ったら、今度は頭痛でもおこしそうになった。
「最近のガキはこんな事言うのか」
『最近の若者は…』そんな事を吹かす、忙しそうな大人達の気持ちがなんとなく分かった。
「だってアタシ飢え死にはしたくない。
どうせ死ぬなら車に引かれて死ぬ」
「死ぬだなんて口軽に言うんじゃない」
「だってこのままだと死ぬ」
「人はそんな簡単にくたばんねーよ」
「人間は脆いよ」
その言葉が妙にリヤルで戸惑った。
「もしさ、ここに来たのが、ぶくぶくの脂汗ぎったぎたの加齢臭のするおっさんだったら、アタシそんな人とえっちしなきゃいけないんだよ?
ここに来たのがあなたで良かった」
そんな言葉に不覚にもドキッとなってしまった
「そんな事言われても…」
「フツーいくらなんだろうね?
知ってる?」
いくらと言う言葉は
少女とする行為の値段だろう
「知るわけねーだろ」
そうでも言わなきゃ色々ヤバい
「そっか」
そう言って少女は、立ち上がり、俺の襟を掴んで顔を引き寄せた。
「あ、キスは無しね
アタシファーストキスまだだから」
えっちしよ。なんて言う奴が何言ってんだ。
てかファーストキスまだのくせに
なんて事言いやがんだよ。
「ねぇ、アタシ何すればいいの?」
顔を近づけたのはいいものの、少女は何をしていいのか固まっていた。
_
最初のコメントを投稿しよう!