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「本当に、機械?」
好美はまだ半信半疑だった。見た目からは全く他の人間と変わらない彼は、にっこりと笑った。
「うん、そうだよ。お母さん」
「……?」
P・M28型D-typeの台詞を聞いて、一瞬、好美は固まった。
「母……さん?」
「どうしたの? お母さん」
「おぇ!? ぅわた、私が!? お母さん!?」
突然に母と呼ばれ、好美はパニックに陥ってしまった。しかし、彼の頭脳は好美を「母親」と認識していた。
「うん、僕を起こしてくれたんだから、僕のお母さんだよ」
あまりに純粋な笑顔が、逆に怖い。少なくとも好美は、この時そう感じた。
(人口頭髪、人工皮膚を使用した、最新式ヒューマノイドってところかな……? でも、声は機械音声じゃない。どう考えても声帯から直接出た声にしか聞こえない……一体どうなってるの? っていうか、なんで私がお母さん!? 私を一番最初に見たから? まるでインプリンティングじゃない!)
冗談ではない。何でいきなり見ず知らずの見た目同年代の男の子の母親にならなければならないのだ。
今後の生活、主に学校でどう説明すればいい?
「あ、えーっとね、君……」
とりあえず、今は現状を維持しなければならない。あと、自分が親ではないことを、この少年に分かってもらわなければ……好美はそう考えた。
「まあ、起動させちゃったのは私のせいだから、そこは責任取らなきゃいけないけど……私はあなたのお母さんじゃないの」
一瞬、P・M28型D-typeの表情が凍りついた。その一瞬を、好美は見逃すことができなかった。
「わ、私は学生で、育児とかそういうの、全然専門外だし、いきなりやれって言われても、正直無理なの!」
しかし、退くに退けなかった。ここで少しでも妥協をしてしまえば、きっといつもの生活の、何かが狂ってしまう。いや、既にもう狂ってはいるのだが。
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