794人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は魔王だ。
正直、自分でも信じられない。
そもそも魔王とは、エリートの集まる上級魔族学園を、優秀な成績で卒業した者に与えられる、最高位の称号だ。
それが、何で僕なんかに……。
僕は辺りを見渡した。
今、王城で卒業後の初任務の任命式の真っ最中。
この場には、魔王の称号を冠した卒業生しかいない。
「次、ロット・ワイラー」
僕の名前が呼ばれると、辺りがざわついた。
「ワイラー? 何で落ちこぼれのアイツがここに居るんだ?」
「ワイル家の力だろ」
「お貴族様々ってか?」
…………。
そう。
僕は学園一の落ちこぼれと呼ばれていた。
この場に呼ばれる訳が無いのだ。
そんな僕がこの場に呼ばれたのは、僕の家の所為だろう。
「……ロット・ワイラー!」
再度呼ばれて、僕は慌てて前に出る。
ドテッ
慌てた所為で、何も無い所で躓いた。
辺りから嘲笑がもれる。
「貴殿に次の任務を言い渡す。亜人に支配された世界、『ル・シアン』を征服されたし」
「は、はいっ! 承りました」
僕は顔を真っ赤にしながら敬礼をした。
最初のコメントを投稿しよう!