序章

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僕は魔王だ。 正直、自分でも信じられない。 そもそも魔王とは、エリートの集まる上級魔族学園を、優秀な成績で卒業した者に与えられる、最高位の称号だ。 それが、何で僕なんかに……。 僕は辺りを見渡した。 今、王城で卒業後の初任務の任命式の真っ最中。 この場には、魔王の称号を冠した卒業生しかいない。 「次、ロット・ワイラー」 僕の名前が呼ばれると、辺りがざわついた。 「ワイラー? 何で落ちこぼれのアイツがここに居るんだ?」 「ワイル家の力だろ」 「お貴族様々ってか?」 …………。 そう。 僕は学園一の落ちこぼれと呼ばれていた。 この場に呼ばれる訳が無いのだ。 そんな僕がこの場に呼ばれたのは、僕の家の所為だろう。 「……ロット・ワイラー!」 再度呼ばれて、僕は慌てて前に出る。 ドテッ 慌てた所為で、何も無い所で躓いた。 辺りから嘲笑がもれる。 「貴殿に次の任務を言い渡す。亜人に支配された世界、『ル・シアン』を征服されたし」 「は、はいっ! 承りました」 僕は顔を真っ赤にしながら敬礼をした。
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