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僕は、いくら親子でも、父上を怒鳴るなんて出来ないな。
そんな、見当違いな事を考えていると、大魔王様は話を締めくくった。
「諸君等も油断することの無いよう。立派に任務を果たして来ることを願っておる」
大魔王様が去って行くと辺りがまた、ざわめき始めた。
「出発は明日、正午になる。遅れることの無いよう。では、解散」
城の兵士の言葉に、みんな各々の家に帰って行く。
僕も、家に帰るべく、大広間を後にする。
すると、そこに。
「ロット~!」
幼い頃から聞き慣れた声と共に、こちらに駆け寄ってくる足音が聞こえた。
「お疲れさま」
「リアン。来てたの?」
振り返ると、そこには僕の幼なじみのリアン・スピノーネがいた。
新緑の瞳に、短く揃えられた栗色の髪。
彼女は、本人曰く、チャームポイントだと言う、ピョコンと飛び出た髪の毛を揺らしながら笑って言った。
「当たり前じゃない。ロットのおめでたい日なんだから」
「僕は自分でも信じられないよ」
僕がため息を付きながら言うと、そこに、新たな声が加わった。
「あら、ロット家の跡取りともあろう方が情けない事を仰るのね」
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