序章

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「シルキー……。僕は跡取りなんかじゃ無いよ」 金の髪を長く伸ばし、蒼い瞳で僕を見つめるのは、シルキー・ストラ。 彼女は、僕の……。 「何度言ったら分かるのかしら。貴方はわたくしの許嫁よ。当主になれなくて務まると思っているのかしら」 「許嫁なんて、親同士が勝手に決めただけじゃないか。それに、跡取りには兄さん達がいるから無理だって」 シルキーは僕の許嫁だ。 僕たちが生まれる前に親同士が勝手に決めたらしい。 成績優秀、容姿端麗で、ストラ家の一人娘であるシルキー。 対して僕は、家柄こそストラ家よりも立派だが、兄弟が7人いる内の末っ子。 おまけに、戦闘系の成績は常にドベ、身長も低く、容姿も女の子に間違えられるなんて日常茶飯事。 そんな僕が彼女と釣り合う筈も無いのだ。 「無理では有りませんわ。現に、魔王の称号を獲得しましたのよ。ここで手柄を立てて他の兄弟共を見返しておやりなさい」 「そうだよ、ロットなら出来るって!」 シルキーの言葉に、リアンまで賛同する。 「でも、世界征服なんて僕には……」 「大丈夫だって。あたしも手伝ってあげるから!」 「不本意ですが、わたくしも手伝って差し上げますわ。貴方だけでは不安ですもの」 「う、うん」 2人の言葉に、僕は弱々しく頷いた。
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