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「ほら、準備が出来てるなら早く帰って、明日に備えて鋭気を養わないと!」
そう言って、リアンが僕の袖を引いて歩き出す。
「わわっ! リアン、待ってよ!」
「今日は早く寝るんだよ? あっ、でもでも! 寝る前に明日の準備の確認をもう一度、ね」
「分かってるって……」
子供じゃ無いんだから。
リアンは僕と同い年のくせに、絶対僕を弟かなんかと間違えている。
「寝坊なんてしたらシャレにもなりませんわよ」
「大丈夫だよ」
家の使用人に起こして貰える様に頼んで有るし。
「心配だなぁ。ロットん家に泊まって起こしてあげようか?」
「いい、いい! 大丈夫!」
リアンが泊まりに来たりなんかしたら、兄貴達に何てからかわれるか分かったもんじゃない。
僕が全力で断ると、リアンも諦めた様だ。
そうこうしている内に、僕の家の前に着いた。
僕の家は王城のすぐ隣に位置している。
「じゃあ、ちゃんと目覚まし掛けるんだよ?」
「召喚魔法の復習もお忘れなく」
「大丈夫、大丈夫。じゃあ、また明日ね」
いつまでも心配する2人に声を掛けて自分の家に入る。
自室に戻って、ベッドに倒れ込んで。
僕は大きなため息をついた。
2人には大丈夫だと言ったが、そんな自信は欠片も無い。
むしろ、不安で一杯だ。
その夜、僕は何度も荷物の確認をしたり、召喚魔法の復習をして過ごした。
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