―第一章―

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「ん?なんか急に暗くなって きてねぇか?」 「さっきまで雲一つ 無かったのに…」 周りの言葉に空を見上げると 確かにさっきまで澄んだ青を 映していた空は全てを飲み込み そうな深い闇色に染まっていた。 厚い雲の隙間からは雷鳴が轟き、得体の知れない恐怖に襲われる。 「恐いよお母さんー!!」 「おい、早く家の中へ!」 「駄目だ!あの雷… こっちへ向かってくる…!」 「「うわああああ!!!」」 一瞬の出来事だった。 大きな稲妻が目の前で 光ったと思ったら、 村の人が皆いなくなっていた。 慌てて辺りを見渡すと 自分の周りには結界が。 そして目の前にはそれを 形成する小さな女の子の姿が― 「ペイル…!」 「ごめんなさい、ライト様… 私の力じゃライト様を守るのが 精一杯で…他のみんなは…っ」 「もう良い!結界を解け! このままだと君が…っ!」 「だめです。すぐに…また 大きな波、が…」 「ペイル!」 すると、ペイルの言った通り 二度目の雷光が光り、 辺りは爆風に包まれた。 彼女自身が衰弱しているせいか 結界はすぐに破れ、 体が吹き飛ぶ感覚がした。 地面に叩き付けられ、 痛みに恐る恐る目を開けると 宙には一人の男の姿が―。
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