―第一章―

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「「お帰りなさいませ、 我が主」」 「おっかえりーサタンくん♪」 サタンが自分の城に入ると 直属部隊の四隊長と腹心の部下に 出迎えられた。 「いや~、闇の帝王サマが あんな小さな村の討伐に 赴くなんて、うちもまだまだ 人手不足だねー☆」 仮にも主に対する言動とは 思えない軽口を叩くのは 側近のイヴァル。 「ふ、そうだな」 「なんかご機嫌だねー 何かイイことでもあったの?」 「あぁ、中々 興味深いものが見れた」 「もしかしてすっげぇ 強い奴に会ったとか!?」 サタンの発言に戦い好きの サンレス隊、隊長レディッシュが 堪らず問いかける。 それに続いてスターレス隊、 ムーンレス隊、ブラインドネス隊 それぞれの長が私情全開で 次々に質問した。 「それなら珍しい鉱石を 掘り当てたとか?」 「至高のスイーツを 発見しましたか」 「上手い酒でも見つけました?」 「マネー様、ルイン様、 アーロン様、一度に聞かれては サタン様も…」 「いや、良いんだ。イヴ」 イヴを制した後、サタンは 少し考える素振りを見せると 至上の笑みを浮かべた。 「未知なる強さを秘めた 少年だった…。 その内には宝石の原石にも似た 可能性と極上の甘味の如き 繊細さを持ち合わせており、 かつ年代物の美酒のような 深みを感じた」 「うぉー!チョー戦いてぇー!」 「そいつは一度会ってみたいな」 「自分の策を試したくなります」 「なんだ、男かぁ。どうせなら かわいい女の子がよかったなぁ」 主の回答に再び四隊長が 口々に感想を述べる。 その様子を横目にイヴァルが 音も無くサタンに近付き そっと耳に囁いた。
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