第1章

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女子の集団の1番後ろをトコトコ歩いて入ってきた女の子を俺の目は俺の脳からの指令を完全に無視して凝視していた。 身長は150センチもないと思う。 ちょっとぶつかっただけでも怪我をしてしまいそうなぐらい華奢な体だ。 髪は肩ぐらいまであってストレートで髪の一本一本が綺麗に整っている。 多分どれだけ髪をといでも引っ掛かることはないだろう。 顔はどっかのアニメのヒロインですか?ってぐらい整っていて、池田に言わせたら『萌え』と表現するに違いない。 彼女は桜井千晴(サクライチハル) 同じ3年生で、俺の隣のクラスだ。 そして……俺は彼女に片思いをしている。 マジかよ、桜井さん応援団やるのかー。 てか、俺の中のキャラにねぇよ。 とか思いながらも桜井さんが頑張って応援する姿を想像する。 うん、やっぱり神に値してる。 今『うわー痛いなコイツ』とか思ったヤツは手を上げろ!俺が地下深くまで埋めてやる。 不細工で話しかける勇気すらないヤツはこうして妄想するしかないんだよ! てか、俺が妄想にふけっているうちに、女子がこっちに歩いてきたな。 青木と……さ、さささ桜井さん!? 「高屋くんやっぱりやらんの?」 やべー。桜井さんが近すぎて青木の声を上手く聞き取れねー。 「高屋くんってば!」 ごめん、青木。 俺に悪気はない。 ただ、声を発する余裕すら無いんだ。 やべー、言葉ってどうやって喋るんやったっけ?
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