第3章

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「むかーし、むかーし……」 「駄目駄目!やからなんでもっと感情を込めれんの?やる気ある?高屋くんのナレーションでこの物語の雰囲気が80%決定するんやお?もっと責任を持ってよ!」 現在ナレーションを練習中なんやけど、委員長の気合いがなんかものすごいことになってます。 お前はアレか?超監督になりたいのか? 止めておけ、そのうち秋なのに桜が咲くなんて現象が起きるぞ。 もちろん俺の心の叫びを受け止めてくれるはずもなく、委員長は説教を繰り返してくるからそろそろ欝陶しくなってきたぞコラ。 けど俺は大人だ。 まぁここは下手に出てやろう。 「委員長さん?休憩を挟まへん?」 「まぁ…そうやねー」 よし!委員長さんの許可を頂きました! さっさと教室から脱出だ! とりあえずジュースでも買って、涼しいところで飲むか! ジュースを購入すると、こんな炎天下なのにグラウンドではいろいろな部活動が練習に励んでいるのが見えた。 ちょっと前まで自分がアレに加わっていたんだと思うとなんだか不思議な気持ちだ。 部活を引退した瞬間は開放感に満ち溢れていたが、いざ次の日になるとなんだか物足りない気持ちになった。 結局のところ面倒だと思っていた部活動もなんだかんだ言って楽しかったのだろう。 そんなことを思いながら校舎で影になっている場所へ向かう。 ……アレ?先客か? 「ああ、高屋くんやん」 なんだ青木か。
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