第3章

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青木は影で体操座りで座って涼みながらジュースを飲んでいるようだ。 「桜井さんは?」 「千晴はねー。なんか頑張ってセリフ覚えとったからおいてきた。ってかなんで千晴なの?」 ベ、別に理由なんかねぇよ。 「前から思っとったんやけどさ。高屋くんって千晴のこと好きなの?」 思わず飲んでいたジュースを全部吐いちゃいました。 「へぇー。やっぱりそうなんやねー」 青木がニヤニヤしている。 クソ!恥ずかしいから誰にも言ってなかったのに! どうしてくれんだよ! 「な、なんで分かったんですか?」 「そりゃ日ごろの高屋くんの態度を見とれば分かるよ。高屋くんニヤケすぎやしねー」 あー、恥ずかし過ぎる! この巨大女にはいつか仕返しをする必要がありそうやな。 「良い趣味しとると思うよー。千晴可愛いもんねー」 う、うるせーな。てめぇはどうなんやて。 「わたし?わたしはねー…」 その時青木は体操座りで抱えていた両足をさらに抱え込んで丸くなった。 その顔はいつもの青木にはない寂しそうな顔で、初めて青木が小さく見えた。 青木には申し訳ないが『ああ、コイツも一応女の子やったな』と気づかされた。 「……まぁわたしにもいろいろあるんよ!」 へぇー。でも青木ならモテるんやない? 「そんなことないよー。なんか友達って思われるだけで、恋愛対象にはならんみたいなんやおねー。もっと小さくておしとやかになりたかったなー」 それじゃまさに桜井さんの逆やな。
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