第3章

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誰だってそうだ。 自分の持っていないものには憧れを持ち、自分の持っているものの良さに気がつかない。 まぁ結局どれだけ鉄棒にぶら下がっても俺の身長が伸びないのと同じで実現不可能なものはさっさと諦めて受け入れて行くしかないんだよな。 「そういえば高屋くんって千晴のアド知っとるの?」 あ、そういえば知らんわ。 「聞いてきなよー」 青木のテンションが上がってきた。 コイツ楽しんでやがる! 「無理無理、そんな度胸ねぇって」 「そんな最初から無理っていっとったら何も始まらんよ!?」 お前は熱血コーチか。 「だいたい付き合いたいとか考えてないから別に進展しんくてもいいし…」 今のは半分ぐらい嘘だ。 そりゃできるものなら付き合いたいが、まぁ勇気が無いだけだ。 「甘い、甘いよ高屋くん」 だからお前は誰なんだ。 「もし高屋くんがもたもたしとる間に千晴が他の人と付き合ったらどうする?」 そりゃ…諦めるしかないやろ。 「千晴が自分じゃない男と手を繋いで帰るんやお?」 うっ…。 「それで千晴は彼氏に夢中ですれ違ったのに高屋くんの存在にも気がつかんくて、最終的に高屋くんの存在自体もわすれ…」 あー!もう分かったよ! 聞いてこれば良いんやろ!? 「じゃあ行くよ!」 クソ、この女にはいつか不幸を与えてやるか。
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