第1章

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「えー、今日の放課後に応援団を決める。良い思い出になるから是非やるといい。夏休みまであと少しだ。暑さに負けずに勉強に励んでくれ。それではこれでHRを終わる」 三輪先生の話はいつも短い。体育教師だから長く話すのは苦手なのか? 「お前応援団やる?」 また池田か。俺にはこいつしか友達はいないのか? やらん。めんどくさいし、さすがに勉強やらんとまずいやろ。 「確かにそうやな。でもお前ってこういうの頑張るキャラやろ?」 そうやったんかー。俺自身知らんかったわ。 「でも実はやりたいんやろ?」 あーうぜー。 こいつはたまに的を得ている。 確かに口ではああ言ったものの、ちょっとやってみてもいいかな、なんて気持ちがあるのも事実だ。 かといって自分からやるっていうのもなんかやる気満々な感じが嫌だ。 こういうところで格好つけてしまうところは俺の悪い癖かもしれない。 この学校の応援団はやたらモテる。 まぁ男で応援団をやるヤツの半分くらいは格好良いからやるのだろう。 その気持ちはよく分かる。だが実際はどうだろうか。 俺みたいに背が低くて、目が細くて、爬虫類なんて呼ばれてるヤツがモテるだろうか? 「『人は変わろうと思えばいつでも変わることができるのよ!』って生徒会長も言っとったやろ?」 おいおい、急にどっかの生徒会のネタを挟まんといてくれ。それは毎週深夜アニメ見てる人にしか伝わらないネタやろ。だいたいアレ次の日には元の駄目な姿に戻っとったしね…。
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