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ん?なんだ青木か。
こいつは青木有紀(アオキユキ)
女のわりにサバサバしてて話しやすい。
身長は…俺よりちょっとでかい。
本当に『ちょっと』やからね?
「高屋くん応援団やる?」
あーそういえば青木って同じ団だったな。
やらんつもりやけど。
「えー、一緒にやろーよ。高屋くん応援団似合うと思うのになー」
なんなんだこいつは。
なんて最初は思ったがむしろこれはチャンスなのではないかと俺は気付いた!
ここでやると言えば俺が恐れていた『やる気満々な感じ』が無くなるんじゃないかと。
『まぁどうしてもって言われたから仕方なく…』みたいな雰囲気なら俺の言葉では上手く言えないプライドも傷つかなくて済む。
なんて愉快な話だ!
「で?どうするの?」
俺はちらっと池田を見た。
池田がニヤニヤしている。
『なんだてめぇ。俺が聞いた時はやらないって言ったのに女の子に言われたらやるって言うのか?』
という池田の心の声が俺にはっきり伝わってきた。
くそ。ニヤニヤしてんじゃねぇよ。また俺のわけの分からないプライドが発生してしまうじゃねぇかこのアホ!
頭の中は完全にぐちゃぐちゃになっている。
アレだ、天使と悪魔ってやつに近い状況だ。
「…やっぱやらんわ。誘ってくれてありがと」
あー…言ってしまった…。
「そっか…」
青木はちょっとしょんぼりした表情をして俺達から離れていった。
俺も男だ。見栄ぐらいはるさ。
多分このプライドを捨てないと大人になれないんだろうな、なんてちょっと反省した。
てか、こんなことになるなら初めからやるって言っとけばよかった…。
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