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夜、暗闇の林の中の舗装道路を歩いて行くと、細くも開かれた場所にたどり着いた。
その開けた場所には白き無人灯台がそびえ立っていた。
南のちょっとした島、天が一年中降っているとさえ揶揄される天候を持ったその島は、都会とは比べ物にならないほどの美しい空気をもっていた。
昼にその温暖な気候は海の水分を蒸発させ、空気中にたくさんの水蒸気を含ませる。
夜になり気温が下がると、その水蒸気は空中を漂う小さな水滴:霧となる。
灯台から発せられる眩い光が、その霧で乱反射され、光の筋を水平線まで届かせているのだ。
私は感謝した。
自分の求めた世界:暗闇と孤独の世界で、このような幻想的で美しい現象を観ることが出来たのだから。
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