幼蝶の章 前

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その入学式の帰り道、田舎特有の溢れんばかりの春に憂鬱な気分を抱いていた。 (家が近いのが幸いか……にしても……) 「春だなぁ……」 僕は思った事を口に出した。 ブー!ブー!ブー!ブー! ズボンのポケットから携帯のバイブが鳴る。 取り出し見てみると、メールが来ていた 玲菜(れいな)からだった 『どうして先に帰っちゃったの!?お母さんも蓮斗がいなくなったって心配したのよ!今すぐ連絡しなさいっ!』 言われた通りに玲菜に電話をかける。 プルプルプルプルプル!ガチャッ! 「あっ、もしもし……」 「蓮斗おぉぉぉぉ!何してんのよ!何先に帰ってんの!もう!迷惑かけないでよ!」
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