幼蝶の章 前

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「はあっ……」 また溜め息をつくと、体の力が抜ける所かこれから来る天災クラスのお嬢様っ子に対抗する為なのか、全身に力がかかった。 玲菜を待ってぼうっと遠くを見ていると、視線に突如色鮮やかなものが割り込んで来た。 「うわっ!」 咄嗟に手で払いのけ、色鮮やかなものは道端の花に止まった。 視線をその方に移すと、そこには蝶がいた。 「ったく……。」 虫が嫌いと言ったからに、蝶も例外ではない。特に今目の前にいるような揚羽蝶のような今が多彩な虫を見ると吐き気がする。 「僕は虫が嫌いなんだから出てくんなよ。」 聞こえもしなければ、聞こえても意味など全く分からないような揚羽蝶にそう言った。 「まあ、理不尽に虫を嫌う俺も俺かな……」 そう言って顔を上げると遠くから玲菜が見えて来た。  
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