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「闘刃~!!」
いきなり何かと思えば、大きな声を上げながら、蓮がこちらに走って来ているのが確認できた。
図書館内では静かにするべきだが、俺達しかいないのだからこの際気にしないでおこう。
「どうだったんだ?」
「話は学園に帰ってからにしよう。明日、臨時の委員会を開く。全員参加だ。それとこれ、師が闘刃にって」
「直々指名か」
「大事に持っておいてくれと言っていた。なんでも、狙っている奴らがいるらしい」
「森国か?」
俺の問いに蓮ははっきりと頷いた。疑念でしかなかった事が、日記により確信に変わったか。
しかしあの森国が相手となると骨が折れる。あの国は半鎖国状態を森羅戦争から継続しているから、めぼしい情報も中々得られない。
互いに必要以上に干渉しないという条件の元、羅国と森国は条約を結んでいる。
だから物資の輸出入はあれども、それ以外の入国を一切禁止にしているのだ。
なのに森国は隠力を嗅ぎ付けてきた。
……もう既に俺達の周りにいるのかもしれない。
「一難去ってまた一難だな」
「今度の一難はでかい。私達執行委員会だけでなく、帝国とも協力はすべきだろう。……で、皆が納得してくれればいいんだが」
不安の種は尽きない。あと半年で卒業だというのに……
『隠力』というのは本当に難儀な力だ。
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