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「今日はここまで。お疲れ」
「また暇な時相手してね~」
手を振って別れの挨拶をすると、向こうも申し訳程度に応えてくれた。
泪の生活は何かと忙しい。幼い頃に最低限の学問知識しか習わなかったから、勉強に関しては皆より遅れている。それを取り戻そうと、この一年間必死に頑張っていた。
その成果もあり、今ではこうして時間を作ってくれる余裕も持てたそうな。
どれも泪から聞いたわけではなく、京子さんからの話だ。元来無口で負けず嫌いの彼女からは絶対に言わない。
「明後日でもう二学期かぁ……」
誰もいない体育館に寝そべって、天井を何となしに見つめる。思えば、この一年はここにいたのが一番長かったかもしれない。
執行委員会の出動はあっても一ヶ月に一回。帝国に例の三人が加えられ、また隠力者の犯罪の取り締まりに厳しくなった結果、私達の仕事は自然と軽くなっていった。
理絵ちゃんや來亜ちゃんは程々にとはいつも言っている。二人からしたら私は訓練馬鹿らしい。
「まだいたのね」
天井を隠すようにして覗き込んできたのは、噂をすればの人だ。
ツンデレの女王こと理絵ちゃんの登場である。
「何にやけてるのよ?」
「俺に何の用だ?」
「何それ。闘刃さんの真似?」
「あはは、似てないかな。でも理絵ちゃんはどうしてここに?」
今日は特に訓練も遊ぶ予定も約束はしていない。暇だから来たとか?
そんな考えは次の一言で完全に掻き消された。
「宿題、やった?」
…………え?
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