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司書の言葉が気にかかる。誰かに言われてこのような事をしたのか。
まぁどのようにしろ、まずは目的の物を見なくては。
指示された所まで行き、並べられた数冊の本を手に取ってみる。
「……蓮、これはお前が読んだ方がいい」
表紙に題名は何も書かれてはいない。ただ、右隅に小さい文字で『弟子へ』と綴られていた。
「師の日記……」
「こっちは研究書類のまとめみたいだな」
源蔵の死後、いくら探しても見つからなかった物がこんな所に。
あのおっさん、何の意図があるのか知らないが、これはわざと隠していた可能性がある。
蓮は日記にくぎづけになっている。おそらく、源蔵の遺書に近い物だろう。
研究書類は別にすぐに読まなくとも構わない。今はそっとしておいてやろう。
「蓮、俺はここらの本を見て回るから、ゆっくりしといてくれ」
「ん、あ、あぁ、わかった」
持っていた本を机に置き直し、そびえ立つ本棚を今度は目を凝らして見てみる。
二百メートル……といったところか。一日で全部を読むのは到底不可能だろうから、どこにどんな種類の本があるのかは把握しておかないといけない。
……隠力に関する資料があるといいんだが。
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