二章 新たな勢力

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‡   この日記は随分前から書かれている。一番最初は師が隠力の遺伝操作に成功した日、つまり師が隠力者となった日から始まっていた。   毎日書いていたわけではなさそうだ。日にちも飛び飛びになっている。   まずはかいつまんで見てみることにしよう。   『七の月十三の日。   私は晴れて隠力者となった。今の所副作用はない。これなら人工隠力者の着手に一歩進むことができるだろう』     『八の月十四の日   考えが甘かった。どうやら副作用は遅れて出てくるようだ。たまに心臓が圧迫されるような痛みが走る。やはり適合する人間を見つけなくては』   ここからは年代がかなり飛んでいる。……これは去年の事だろうか。   『三の月八の日   全てが順調に進行していたと思っていた。特殊部隊も揃い、今こそ富国強兵を挙げる時になぜ。これまで薬物で補いきれていた胸の痛みが再発してきている。もう限界か。自分で調べてしまった。私の体に抗体ができてしまっている。この命いつまでもつものか』     『五の月六の日   計画を早めることにした。自分の期限がいつまでかわからない以上早いに越したことはない。向こうが気付いていないうちに強い隠力者らを集めなければ』   向こう……これが師の言っていた森国のことか。  
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