二章 新たな勢力

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あまりもう続きはない。思えば、この時期から特殊部隊と私達執行委員会との戦いが始まったんだな……   『六の月十七の日   自分の寿命がおおよそわかってしまった。遅くともあと二ヶ月だろう。計画は簡単に上手くはいかない。もう正直に蓮に話してしまおうか』     『七の月九の日   最近変な症状も出てきている。精神が安定していない。ひょっとしたら私は特殊部隊にとんでもない命令を出しているのかもしれない。記憶にないことも多々ある。これが噂に聞く精神崩壊の前触れか』     『七の月二十三の日   私の計画も中倒れだ。統率者である人間が狂ってしまっては意味は成さない。このまま私は何も残さないで屍となるのか』     『七の月二十四の日   昨日悩んだ末、私は羅刹人として弟子に裏羅刹を継承することにした。特殊部隊の皆、今まですまなかった。今度の指令が最後だ。私の最後のわがままを聞いてくれ』     『七の月三十の日   日記ももうこれ以降は書くことはないだろう。 蓮よ、これを見ているということは私が死んで一年が経ったことになるな。 本当はすぐにでも渡したかったんだが、裏羅刹が体に馴染むには一年は必要である。それ故、渡すのに待ったをかけた。   お前も知っているとは思うが、数年前から隣国のシンが不穏な動きを見せている。奴らは我が国の隠力という力を欲しがっているのだ。特に人工隠力に関する資料は奴らも血なまこになって探している。 よって私はこの日記と一緒にその資料を一時的に隠すことにした。その資料は闘刃に渡しておいてくれると助かる。   奴らは手段を選ばない。場合によっては戦争も有り得る。シンは謎の多い国だ。くれぐれも用心しておいてくれ。最後になるが、蓮。命だけは大切にしろ。羅刹と共に私はお前といる。それではさらばだ』    
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