一章

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(付き合って…ない?) 到底信じられないが、今の隼人の言い方はオレの疑問なんて打ち消すように迷いがなかった。 そう断言されてしまうと自分の方が間違ってるのかもしれないと折れそうになる。 「何、言ってんだよ…ッじゃあなんで…」 あんな風に木下といたのか。 そもそも二人一緒にいる時点で疑うなという方が無理だ。どう見ても付き合っているようにしか見えないのにおかしいだろう。 そんなに嫌ならどうして一緒にいるんだ。 分からない、コイツの考えていることが何一つも。 だからオレは反抗することしか出来ないのだ。 「…信じられるかよ…そんなこと、お前のいうことなんか…!」 「別にそう思ってんならそれでいいんじゃねぇの。別に俺と木下のことなんかお前に関係ねぇしな」 「…ッ」 突き放すように言われ歯を食いしばった。 関係ねぇ…?確かにそうかもしれないが、それにしたって他に言い方ってもんがあるだろう。 こういう無神経なところも全然変わってない。本当に、どこまで人の神経逆撫ですれば気が済むのか。 悔しさに昂ぶっていた気持ちが急激に冷めていくのが分かった。 「…ああそうかよ、確かに関係ねぇよな。」 自分自身、やけに冷静に言葉が出る。 怒りを通り越して、もはや呆れしか出て来ない。
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