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顔を上げて初めて気づいた。
視界に入った女性はというと、青白い光を出している光の粒子の塊のようだった。
それでもちゃんとした女性だった。
見ている光景は、まるでスクリーンに映し出された美女のようだった。
「―――ッ!」
何をみとれているんだ、僕は。
二、三回深呼吸をして尋ねた。
「君、プログラムだよね?」
「はい。半自立プログラム、マザーによって造られたプログラム、“アユ”と申します」
アユと名乗った彼女は頭を下げた。
彼女の本体は単なる電子体に過ぎない。
それを僕らがいる現実の世界に視覚化するためにホログラムとなっていたのだ。
「曽根川ひかる様」
よく聞けばわかるのだが、彼女の声は電子音だった。
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