Start ~ハジマリ~

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マリィ・スカーレット クラッドったら全然相手にしてくれなかった。 まったくもう……。 こんなかわいい女の子が助けを求めているのに失礼しちゃうわ!! これじゃ私達が結婚した時とか先が思いやられるわ……。 なんてね! 私ったら何考えてるのかしら!! 「……おいマリィ。それだけかよ」 クラッドがぶっきらぼうに聞いた。 「大変なことがそれだけなら、あいつをどうにかしてくれないかな?」 私はクラッドが指差すジャングルジムの上を見る。 そこには年甲斐もなく、ふてくされた兄の姿が……。 「兄さん!?恥ずかしいから降りて来てよ!!」 私が叫ぶと兄さんは、 「へーんだ!!」 などとかなり古いひねくれた返事を返してきた。 なんて社会的に迷惑な兄なんだろう……。 仕方なく、携帯電話で警察に電話する。 「もしもし、警察ですか?私の兄が……」 「兄がどうしたんだい?マリィちゃん?」 凄まじい早さでジャングルジムから降りて来た兄さんが私の携帯を奪う。 「そーゆー訳で兄はスッゴクカッコいいです!!じゃ!!」 自画自賛の台詞とともに電話を切って、満足そうに私に返す兄さん。 どうでもいいけどね。兄さん。 「今、私マジで警察に電話したから、逆探知されてると思うよ」 「ははは!!されたってお前の携帯だろ?」 「……ならいいけど」 私がここに来た理由……。 本当は間違えて私の携帯持って行った兄さんに携帯を届けることだったんだけど……。 まぁ本人がああじゃ……。 いいよね? 気付くまでは喋らなくても……。
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