Contact ~デアイ~

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まだ10分ある。 もう10分しかない。 どっちなんだろう。 僕はどういう方法にしろ、この星から出る訳なんだから。 父さんはなんで、その惑星にいるんだろうか? そこで何をしているんだろうか? ……考え出したら切りが無い。 ……不意に、前方の空間が揺れる。 そしてそれとともに奴が現れた。 クリック・ルーンシーカー。 ……10分早いじゃないか。 「……きたなクラッド・キーズウェー。また会えて光栄だよ」 「前置きはいい。それより本当に父さんの所に連れて行ってくれるのか?」 僕の質問に対してニヤリと笑うクリック。 「きちんとお前を連れていくさ……ただ、しばらくは戻れないことを覚悟しろよ?」 分かってるよ。 それを覚悟の上に来たんだ。 「ああ、大丈夫だ」 「フ……じゃあクラッド。君を漆黒の大海に誘おうか!!」 クリックは指を鳴らした。 パチン!! その音ともに、僕は足元が崩れていく感覚に襲われる。 周りの風景も消えるように溶けていく。 「あ、そうそう。俺はあとから行くから」 消えていく風景の中にいるクリックが、この土壇場でとんでもないことを喋りだす。 ちょっ……この状況でなんてことを言いだすんだ!? この人は!! って言うか、だったら僕は見知らぬ星にたった1人で放り出されるってのか!? 「おいクリック!!ふざけんな!クリックーーーー!!」 叫んだけれど、返事は検討違いのものだった。 「そうそう……。クラッド。君が行く星の名は……〈ルナティア〉」 ルナティア……? それを聞いたあと、僕の意識はだんだんと薄れていく……。 ……この時は、知らなかったんだ。 この後僕の人生を変える、一つの〈出会い〉が待っていたことを。
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