プロローグ

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全てが静まり返る夜明けも近いほどの真っ暗闇。普段そこは様々な業者がものを置いてある倉庫街の一角にその時間にはいないはずの人の走る足音が複数辺りに反響して響きわたる。 「くそっ。そうそう簡単には逃がしちゃくれないってか!」 倉庫の一つの角に隠れながら男達の内の一人、そいつらのボスらしき男が苦々しく言葉を吐き出す。 「あ、兄貴、俺ら、ここで終わっちまうんですかい?」 「お、俺まだ死にたくないッス!!」 「馬鹿ヤロウ!泣き言抜かしてんじゃねぇ!!・・・・・・死んでたまっかよ、たった一回の失敗ごときでよ」 ぶるぶる震えて涙ぐんでいる舎弟の男達を怒鳴って黙らせる。怒鳴った男本人も懸命に不安や恐怖に震える身体を制している。 「と、とにかく、あとちょっとすれば逃亡用の船がある港に行けるんだ。船で遠くまで行っちまえばこっちのもんだからな」 ボスらしき男は舎弟にそう言ってニヤリと笑う。舎弟の男達もそれを聞いてまだ引き攣ってはいるものの無理矢理笑い顔を作った。 「・・・・・・よし、なら行くぞ。奴の気配は今は---」 「ぐがっ、ぁ」 ボスらしき男が一度周りを確認して後ろにいる舎弟達に行くぞと言おうと振り向くと舎弟の一人が急に苦しそうな声をあげてその場に倒れ込んだ。
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