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街は、自然の霧と人工の煙が渦巻き、自分の手を伸ばせば指先を確認できないほどに視界が悪かった。
「この霧に見覚えはある?
あればいいけど、無ければこれから覚えるんだよ?
たぶん、これからは毎朝みるだろうからね」
子供はキョロキョロフラフラと頭と目を振って歩くので、ネロは子供が迷子にならないよう強く手を握り直した。
「初めての風景みたいだね。
でも君がこの街の言葉を覚えて役場の人間に、君が見慣れた街の風景を伝えれば、誰かが君の故郷を教えてくれるかもしれない。
だからしっかりと勉強するんだよ?」
ネロは子供が分からないと、また聞いていないと理解しながらも子供に言った。
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