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「……いい雰囲気のところ、申し訳ないけど。」
その沈黙を破ってきた声に、二人はほぼ同時に我に戻った。
「ね、姉ちゃん!? なな何の用!?」
どもりながらその声の主に抗議をする優。奏太は我に戻って完全にフリーズした模様。
「なんの用って…あなた達、夕ごはんは?いらないの?」
呆れたようにモノを言う絢音に、優と奏太はほぼ同時に「あっ」と声を上げた。
*
夕食を済ませて、優が奏太に「ちょっと散歩しない?」と誘って、近所の公園へと向かう。9月も半ばになって、薄手の長袖を着ていても肌寒く感じる風が流れている。
「……湯冷めしない内に、言わないとね」
公園に到着して、優にとって思い入れのあるベンチの近くで、奏太に向かって声を掛ける。
(――私が告白した場所。……この場所で、もう一度――)
「……散歩だけじゃなかったのか?」
「うん……ちょっと、ね。」
「ふうん」
(奏太は覚えているのかな。それとも、忘れたフリ、してるのかな?)
一瞬、強めの風が公園の中を通り過ぎて優の髪が風になびく。
「――私と奏太が、従兄妹だって知らされて、本当に驚いたんだ。……こんなに。ね?」
髪を抑えながら言葉を紡いでいく。
「ほんの数日前の出来事なのに、ずっと、ずっと前から悩んできたような。そんな風に錯覚することもあったんだよ。」
思いを言葉にしていく度に、数日間の葛藤が脳裏をかすめていく。
「それでね、もし……従兄だって言われた人が、奏太じゃなかったらどう思ったのかなって、考えたことがあってね」
「……それで、どう思った?」
静かに勇の言葉を聞いてきた奏太が効いて来る。それに優は小さく首を振り
「全然。『あ、そうなんだ』っていう程度の反応で終わっちゃいそう。」
ここで、優は奏太に一歩近寄った。
「――やっぱり、その相手が奏太だったから――奏太のことが、好きだから――……こんなに悩んだのかもしれない。」
「……は?」
もう一歩、奏太に近づく。
「だからね。もう一度―――…。」
改めて、奏太に私の思いを伝えたい。
「奏太のことが好きです。付き合って下さい!」
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