桜井遥編 

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いきなり背中を叩かれたら、誰しもイラっとくるはずだが、俺は慣れている。そんなことをするヤツに心当たりがあるからだ。 「コウちゃん、おはよ~!また寝癖ついてるぞ。」 このポニーテールの彼女は、森本鈴。小学3年生の時、この町に引っ越してきた彼女は中学校まで同じクラスだったこともあり、もはや腐れ縁という感じだ。 「寝癖は俺の個性だ!」 「寝癖で威張らない。」 こんなやりとりは日常茶飯事のことだ。同じ高校だがクラスは別になった。ただ腐れ縁は変わらないだろうと感じている。 「そういえば、昨日寝坊したでしょ。」 「あぁ…したな。」 「今後寝坊しないように、朝迎えに行ってあげようか?」 「…問題ない、昨日はたまたまだ。」 この学校には室内の温水プールがあるので毎日練習できる。リンは朝練があり毎朝早いはずだ。それにつき合わされて起こされるのは、俺には辛すぎる。朝はダラダラしたいのだ。 「ふーん、そっか。」 「心配いらん。」 そんな話をしているうちに、校門についた。 「じゃあ、部室寄って行くから」 「おう」 リンは部室へと向かって行った。スポーツ推薦で入学した彼女は、期待のエースのようだ。中学校の時も運動神経抜群で男女問わず人気者だった。羨ましいかぎりだが、本人は自覚していなかった。 俺は教室に向かうことにした。入学したばかりの俺が行くとこなど決まっていた。 教室に向かおうとした時、昨日の出来事を思いだした。なんとなく昨日の場所に行ってみることにした。 (まさかな…。) とは言いつつも少し期待していたことは、言うまでもない。
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