桜井遥編 

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俺は昔の夢を見ていた。 「コウくん、あっちに行こう!」 女の子は僕の手を握り、引っ張って行く。 「ハルカちゃん待って。」 彼女の笑顔は人に力を与える笑顔だった。僕はその子の笑顔が見たくて一生懸命に追いかけていた。 ある日、僕は女の子に伝えたのだ。 「僕、ハルカちゃんの笑った顔が一番好きだ。」 「ありがとう、コウくん。」 この頃の俺は「好き」という言葉が使えていた。 ニュアンスの違いはあれど、人に伝えたのは初めてだった。
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