桜井遥編 

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「おはよ!」 「おう。」 「奥手のコウちゃんにやっと女ができたか!?」 「いきなり何を言い出す!」 「いや~、入学3日目にして女子と歩いているなんて…隅に置けない男になって…目から涙が…。」 「何故泣く!?」 「いやはや、生まれてこの方、恋人がいない人間の成長を喜んでいるんだよ!?そりゃ目から涙がでるってもんでしょう。」 「そこまで喜ばんでよろしい!」 リンのテンションが高いのはいつものことだ。 「あ、あの…。」 「あっ、おい鈴、遥ちゃんが戸惑っているだろ。」 「ごめんごめん。」 「この子は桜井遥、幼稚園の時までここに住んでた幼なじみで、偶然同じ高校だったんだ。」 「どうも桜井遥です。」 「で、こっちは腐れ縁の森本鈴」 「なんか、扱い方がちがーう、不公平だー!」 「気のせいだ。」 「森本さん、はじめまして。」 「かたっくるしいのは無し無し、リンって呼んで、私もハルカって呼ぶから。」 リンは昔からこうだ。相手との距離を一気に詰めてしまう。だいたいの人は時間をかけて関係を作るが、リンにはその時間は必要ないらしい。 「うん、よろしくねリンちゃん。」 「よろしく、ハルカ。」 自己紹介を終え、ふと気付いた。 「おい、リン。今日の朝練は?」 「今日は休みなんだ~、羨ましいか!?」 「はいはい、そうだね。」 「コウちゃんが冷たーい。」 そんな会話をしているうちに、学校に到着した。
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