桜井遥編 

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昼休み 高校と言ったら…購買でパン!と思い、教室を出ようとしたら、ハルカちゃんが廊下で待っていた。 「コウくん、もしかして購買行くの?」 「おう、そうだけど?」 「じゃあ、これ…。」 お弁当だった。 「朝渡し忘れちゃった。」 そういうと、ちょっと舌出した。その仕草はあまりにも絵になっていた。 「これ作ってくれたのか?」 「うん、迷惑だった?」 「そんなことない…ありがとう。」 (これで購買行くのはお預けだな) 「それで、もし良かったらお昼一緒どうかな?」 断る理由はない。 「いいよ、でも場所は…。」 さすがに教室は気まずい。 「場所は任せて☆」 とウィンクをし俺の手をとり、歩き始めた。 「ねぇ、どこ行くの?」 「内緒。」 と教えてはくれないようだが、どうやら外のようだ。桜が満開で花びらが舞っていた。 学校の裏は山になっているんだが、目的地はそこにあるらしい。 「こっちこっち!」 「おいおい、ほんとどこ行くんだよ~。」 遥ちゃんは昔のまんまだなと感じた。よく俺を引っ張って進んでいく。 (遥ちゃんは相変わらずだな。) そんなことを考えていると目的地に到着したようだ。 「着いたよ、コウくん。」 「……………これは…………。」 言葉を失った。 そこには若木の桜が満開で力強く咲いていた。まだまだ若い木だけど、見事な咲っぷりだ。 (裏山にこんな場所があるなんて…。) 「実は、昨日の放課後、学校探索してたんだけど、裏山になにかないかなぁ~っと思ってちょっと入ったら、この桜の木があったんだよぉ。」 「そうなんだ……。」 「ほらほら、早くお昼にしよ!お腹ペコペコだよ!」 「お、おい…もう…。」 手を引っ張られる。 (俺は子供じゃないんだけど…。) そんなこんなで、その近くにあったちょうどいい感じの石に座り、昼食をとることにした。
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