桜井遥編 

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「おぉ!、これはうまい!」 だし巻き卵を口にした俺は感嘆の声をあげていた。 「ありがと。」 遥ちゃんがニッコリした。 (ほんといいお嫁さんになるよ。) 今度は口に出さないようにした。 (朝の空気にはしないようにしないと……。) 俺の身が持たない。 「そういえば、コウくん…リンちゃんとは名前で呼び合ってるんだよね?」 「ん?まぁ…あいつがあんなんだからなぁ。」 自然と今の距離感になっていた。 「ふ~ん……そうなんだぁ……じゃあ、私のこともハルカでいいよ?」 「え?」 「ダメ…かな…?」 と上目で言われてしまったら… 「あぁ、いや、分かったよ。えぇーと…。」 「ほらほら、遠慮しないで。」 こういうのは勢いだと、少な過ぎる経験でそう判断した。 「…分かったよ、遥。」 「うん!」 遥は満面の笑みをみせた。 (その笑顔は反則だぞ、遥…。) 身体が熱くなる自分を抑えた。 「それと…これ連絡先。これでいつでも連絡とれるね。」 「お、おう、そうだな。」 ちょうど昼食を終えるころにはお昼休みの終わりが近づいていた。 「おっ時間だな。あぁ…えぇーと…。は、遥、戻ろう。」 「うん、そうだね。」 遥はご機嫌のようだ。 なんでなのかは、よくわからないが、 (……まぁ、いっか……) 鼻歌を歌う遥を追いかけるようにして教室に戻った。
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