桜井遥編 

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お昼の後の授業が眠くなるのは、おそらく世界共通認識のはず。 だからと言って入学して3日目なのに居眠り出来る図太さは、残念ながら俺は持ち合わせていない。少なくとも、前の席の人間以外は…。 「zzzz…。」 (なんなんだ、コイツは…モンスターか…?) などと思っていたら6限目の授業が終わった。 HRを終え、帰宅しようとしたら、呼び止めるモンスターが現れた。…尾田である。 「蒼井君、部活は決めたのかい?」 「いや、俺はいいや。」 俺は部活に入る気がない。先輩に気を使うことも後輩に気を使うことも結構大変なことだ。まぁ、ようするに面倒だ。 「何を言っているのだ、君は!」 黒縁メガネが光り、肩に手をかけ、耳元で囁いた。 「高校生活をエンジョイする大切な活動だよ、部活は…。」 妙な英語の発音の良さで囁いたせいもあり、気色の悪さを感じた。 ただ、彼の意見は一理ある。放課後の活動は学生が第二に重視する点だ。最近は、逆転している学生が多いみたいだが…。 「蒼井君、良ければ見学に行かないかい?」 特にこのあと用事があるわけではないので、 「あぁ、いいぜ。」 と彼について行くことにした。 俺は尾田という人間を嫌っているわけではない。ただ行動がちょっと不快には感じる。男同士だと気にしなければうまくやっていけるものだ。俺の場合は、相手の苦手なところはできるだけスルーする。変に指摘して、相手との間に溝作らないようにしている。 しかしながら、さっきの発音のキモさが耳に残って気持ち悪い。 そんなことを感じながら廊下に出ると、 「コウくーん」 と後ろから声がかかった。
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