桜井遥編 

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ふりかえると、遥だった。 「コウくん、帰るの?」 「いや、ちょっとコイツと部活見学。」 「どうも始めまして、尾田空也です。よ・ろ・し・く☆」 尾田がウィンクを決めた。 「ど、どうも…、始めまして、桜井遥です…。」 「知ってますとも、A組の桜井さん、だって可愛いじゃないですか!」 「ど、どうも…。」 どうやら、遥にも俺と同じ共通認識ができたようだ。とりあえず、尾田が暴走する前に止めに入ることにしよう。 俺は遥と尾田の間に割って入った。 「おい、尾田、遥の半径1メートル以内に入るな、遥が怯えているから。」 実際は気持ち悪いと感じているのだろうが…あえて伏せておこう。 「おっと、これは失礼。」 なんとなくわかってはいたが、尾田は無駄に紳士なところがある。それでも、女性に好かれない紳士だと思うが…。 「え、えーと、部活見学に行くんだぁ~。じゃあ、私も行くよ、色々見てみたいし。」 俺はふと気づいた。さっきまで残っていた尾田の気持ち悪い発音が消えている。遥の声がその気持ち悪さを消してくれたみたいだ。 (遥は天使だなぁ…。) と感じていたら、 「ほ~ら、先に行ちゃうよ!」 「わ、分かったから、腕引っ張るなよぉ…。」 3人で部活見学に向かった。
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