桜井遥編 

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桜井遥編 

俺は高校の入学式に向かっていた。 入学する高校は、家から歩いて15分ほどのとこにある、小高い丘にある緑山高校。 高校に向かう俺は急いでいた。何故なら… 「寝坊したー!!」 油断とはこのことだ。入学前夜、俺は眠れなかった。妄想という暴走が頭の回転を上げてしまっていた。当然だ。生まれてこのかた恋人がいない俺は、高校での新たな出会いに心を踊らせていた。 妄想ってどんな?という疑問には答える気はない。何故かって…恥ずかしいからだ。 家から15分というのも油断させた。寝たのはおそらく2時過ぎだろう、2時過ぎからの記憶がない、起きたのは7時。入学式は9時。8時30分に学校に着けば良い。余裕をもって8時に出れば間に合うはずだったのだが…。 二度寝してしまった。 そして起きたのは、8時20分。親はもう家にはいない共働きの上、1回起こされている記憶がある。 急いで着替え、戸締まりをして、自転車に飛び乗った。 人間やればできる、8時30分に学校に到着。急いで入学の受付に向かう。 その時、中庭の桜を見つめていた女子生徒と目が合ってしまった。 始まりを告げる春風が吹き抜け、桜の花びらが舞い上がった。
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