6人が本棚に入れています
本棚に追加
入学式の次の日の朝。
「夢…か…。」
久しぶりに見た。寂しくて忘れようとしてきた昔の思い出。
夢で見てしまうと、どこまでが本当の出来事だったかわからなくなってしまう。
この夢を見たあとは寂しい気持ちが残っている。あまりいい気分じゃない。
登校の準備をし朝食をとる。朝食は簡単にトーストと牛乳。朝はそれぐらいですませる。
今日は時間には余裕がある、毎日遅刻寸前の登校は身が持たない。
俺は戸締まりをして家を出る。
今日は自転車は使わない、春の暖かさをゆっくり味わいたい気分だからだ。
………寝起きが良くなかったのもあるが………。
この時間は登校する人はまばらだ。急ぐ理由もないので、ゆっくり歩いて行く。
ふと、考え始める。
昨日見た女子生徒のことだ。見た感じだと同じ新入生のようだった。桜色のショートヘアの彼女と俺は目が会った。それに気付いた彼女は、俺に笑顔で何か言ったようだった。
しかし、俺は情けないことにその場を足早に立ち去った。女子生徒を見て、目があったら逃げるだろう。居心地が悪いのもあったが、あの笑顔の破壊力は耐性をつけなければ直視できないはずだ。
(可愛かったなぁ…。)
そんなことを考えていると、いきなり背中を叩かれた。
最初のコメントを投稿しよう!