ナースコール

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ナースコール

深夜の病院。昼間の喧騒も消えた世界。静寂と薄暗がりの中、今夜も私はいつもの病室へ足を運ぶ。 ナースたる者、患者の選り好みをするのは悪い事だとは分かっているのだが、あの病室へ向かうのは正直、嫌だ。 毎晩あの患者一人のわがままで何度、私が呼び出され振り回される事か。 ましてや、私の担当する患者の死亡率の高い事実。 まるで、私が担当する入院患者達は死神に魅いられているかの様だ。 今夜も執拗に鳴り響くナースコールに私は呼び出され、些細な用や嫌みを聞く事を繰り返す。しかし… …あの患者も亡くなるのでは… そう考えると今は親切にしなくては、とも思うのだが、今あのベッドにいる患者は実際そう重い病気では無いのだ。 自らを死病と思い込み、勘違いをして自棄になっている患者のわがままの相手をする事ほど嫌な仕事は無い。 だが、もしもの事があったらと思うと… ナースである私は、今夜もナースコールに応えていつもの病室、いつもの患者の元へ重い足取りで向かう…
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