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あの後、村ではすぐに緊急会議が開かれた。
当然、集まったのは村長と、その補佐役である3人の重鎮、村の経営を支える14人の家長達である。
「まさか、この時期に井戸が枯れるとは…」
全員が集会場に並べられた机に座り頭を抱える中、さらに深く頭を抱え、そう発言する村長。
「しっかりしてください。昨日使えたのなら、まだ何とかなるはずです」
「そうだぞ。枯れたのではなく、どこかで凍ってしまっている可能性もある」
重鎮たちが出す希望的発言にその場にいた殆どが、何とかなるのではと僅かばかり表情を明るくする。
しかし、その中には当然それを鵜呑みにせず、それだけでなく悲観的観測しかしない者もいた。
「最悪…新たな水道を開拓するしかないのか…」
「むぅ…」
「しかし、今の水道も開拓するのに7年はかかりましたぞ…?」
その悲観的観測しかしない者の中から出た発言に、明るくなり始めていた空気がまた重くなる。
「…なにかいい手は無いものか…」
すると、一人の重鎮が神妙な面持ちで立ち上がった。
「と、とりあえず原因の究明をいたしましょう。まずはそこからです」
それは誰が聞いても苦し紛れで、誰もが簡単に思いつく言葉だったが、全員がそれに対して愚痴も言わず、賛同した。
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