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だけれど、そんな中。
一人大切な存在がいた。
「また、こんなところにいたの?」
「セレス」
セレス。
幼なじみの女の子。
彼女はクロスを怖がらず、常に話しかけてくれた。
桜色の髪が綺麗で、銀の瞳は不思議とあたたかかった。
大好きな、存在。
だがクロスはそれにさえ恐怖する。
傷付けてしまうかもしれない。
失ってしまうかも、しれない。
少しだけ、距離を置き、一番楽な位置で接した。
セレスは常にクロスを庇い続けていたことを、そのせいで彼は知らなかった。
力に怯えて、クロスは生き続けた。
そんな苦しい日々に、ひとつの光が差し込む。
ある日買い出しに出掛けた都市の中で見た、一枚のチラシ。
『騎士募集』
騎士ならば。
力が必要だ。
この強大な力でも
必要とされ、堂々と生きられる。
迷わなかった。
騎士となることを、その日決意した。
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