別離

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両親は反対せず、ただクロスが望むなら、とそう答えた。 正直、強すぎるクロスをどう扱えばいいのか、両親も苦しんでいた。 集落は人と人の繋がりが濃い。 そんな中度々他人を傷付けてしまうクロスは、集落の人間からも毛嫌いされていた。 大人さえ軽々傷付けられるクロスは、畏怖の対象でしかない。 「セレス、私は騎士になるよ」 そう告げたのは、騎士となる為都市に出る前日。 少し痩せこけた彼女は、驚いた表情でクロスを見やる。 「……嘘」 「嘘じゃ、ない」 水色の髪を揺らし、クロスは首を横に振った。 「危ないわ、騎士なんて。それに……」 「もう、決めたんだ」 分かってもらおうとは思わない。 理解はされない。 クロスは、セレスを突き放した。 もう、離れてしまうのならば。 「目障りだ。もう、私に関わらないでくれ」 絶望に歪んだセレスの顔を クロスは見なかった。 「私は認めないっ」 泣きながら、セレスは走り去った。 これでいい、と。 クロスはそのまま、セレスとは喧嘩したまま故郷を後にしたのである。
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