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「汝ここに誓うか」
威厳のある、深い声。
その声に、一人の少年が頭を垂れる。
「誓います。如何なる時も、この手は国の為。私が振るう剣は民の為。そして……」
湖を思わせる髪に、金色の瞳。
髪は首の近くで揺れた。
まだ幼さが残る、大きめの瞳は真っ直ぐに見つめる。
それは、彼の未来か。
「我が名、クロス。この名を国王様に捧げましょう」
――――クロス、15歳。
騎士となった瞬間だった。
「ありがとうございました」
式典が終わり、クロスは目の前の男性にそう言った。
それは、先程クロスが国王、と呼んだ人物で、確かに宝石やシルクの衣装など、豪華に着飾るその姿は国王にふさわしい。
「何がだ、クロス」
「国王様自ら式典に出ていただけるなど。光栄の極みでございます」
「やめたまえ。それだけの実力があると言うことだ。……期待、している」
クロスが騎士になった国。
それは彼が生まれ故郷より離れた都市だった。
他はともかく、その都市では騎士になる者は早くて20歳と言われ、また騎士になる日の式典に来るのは祭司長と定められていた。
クロスは、違う。
僅か15歳で騎士となり、国王自ら彼に騎士として誓いを立てさせた。
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