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すると修二は「えっ」と、一度その場に立ち止まり、それからまたそっと静かに歩みを始め、それからスッと私を見つめた。
「わかんない」
「は?」
「だからその……自分でもよく分からないんだ。何で自分がそういう態度をとっちゃうのか、わかんないんだ」
「ふーん。わかんないんだ」
私は冷たくそう言い、またフワァと大きなアクビをつくと、そっと歩きながら背伸びをした。
「でも……」
「でも?」
「でも、わかることが一つだけあるんだ」
「ひとつだけって何?」
「彩乃が好きなこと」
「えっ?」
その瞬間、私は思わず「えっ」と声をあげた。それからそっと修二の顔を見つめ、「今なんて言った?」と私は修二に尋ねた。
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