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「だから……お前のことが好きだって言った。彩乃が好きだって」
「……」
「なんだよ。急に黙り込むなよ」
「だって……」
「まぁいいや。とにかく手、繋ごう」
修二はそう言って無邪気に笑うと、私の手を強引に握った。暖かくて大きな修二の手。私は何も言わなかった。言う必要もなかった。ただ私たちは、夕暮れの川の土手を二人寄り添って歩き続けた。
"何だかんだ言って、結局私は修二のことが好きなんだ。"
そう思うと、何故か訳もなく、自然と笑みがこぼれた。それは幸せの笑みだった。
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