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――夕方
ちょうど夕食どきの時間となり、両親が職場から帰っくる時間だ。
僕は、自称悪魔の黒メイドの女の子に訪ねた。
「そういえば、君の名前は?」
「あ、申し遅れました」
自称悪魔はペコリとお辞儀をして答える。
「私は、アカネと申します。以後よろしくお願いします」
自称悪魔――改め、アカネは声の明るさに釣り合わない丁寧さで答えた。
まさか本気でメイドのつもりなのだろうか……
「じゃあ、アカネ……」
いきなり呼び捨てしてしまったが、まぁ大丈夫だろう。悪魔らしいけど……
「もうそろそろ僕の両親が職場から帰ってくるから、夜の間は僕の部屋にいてくれないか?」
「分かりました。私という存在の証明も、大人には面倒ですし」
以外と理解がある悪魔だった。
アカネに二階の僕の部屋を案内してると両親が帰ってきた。
「じゃあ、また夜に」
「はい」
アカネの明るい返事を背に、一階の居間へ戻った。
ちょうど両親とも居間にいた。
「おかえり」
「ただいま」
いかにも親子らしい会話だけをして、顔も合わせない。
いつも通り、苦痛しか感じない親子関係である。
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