第1章

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その間にオレは、洗濯機を予約し、夕飯の下準備を済ませ、脱ぎっぱなしの深鈴の寝間着をたたみ、深鈴と自分の持ち物を確認し、自分の髪の毛をセット、後ろから深鈴の髪を梳かして二つ縛りにした。 これが、深鈴が皿2枚、茶碗2つを洗うまでにこなしたことだ。 俺の家事が早いのではなく、深鈴の皿洗いが遅いのだった。 「よし、行くぞ深鈴」 「焼肉に!?」 「朝からどんだけ食う気だよ」 そして、オレは深鈴と手を繋いで玄関から外に出た。 振り向けば、そこにあるのは土壁でできた古ぼけたアパート。 しかし、立地しているのは超絶科学都市、東京だ。 時は西暦2100年。 新たな免震技術が、東京都の西側へ新東京市という空中都市を成功に導いたその年。 東京23区は、新東京市とは逆ベクトルの成功を収めていた。 それは、地下10km地点を空に、地下20km地点を地面した、広大な地下世界、『第二新東京市』の完成だ。
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