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男はチャラかった。
脱色してから染めたと思わしき、不自然なくらい綺麗な金髪の髪に、スプレーでショッキングピンクのメッシュを入れている。
髪型も完全にホストのそれで、活動時間がおかしい気がしてくる。
顔はかなりイケメンなのだが、趣味が少し残念な感じだ。
対し、女は無表情だった。
無口、無表情、無反応。赤みがかったショートカットの髪を揺らしもせずに、大きな瞳でオレを見つめていた。
男を碧崎蒼夜 (へきざき・そうや)といい、
女を緋澄紅子 (ひずみ・こうこ) という。
この2人は実験の末に出来上がった試作品を試験運用する、人体実験要員だ。
「日に日に酷い髪色になっていくな、蒼夜」
ソファに深鈴を寝かしながら、オレは蒼夜に問う。
すると、蒼夜は苦笑を浮かべた。
「えぇ、仕方ないんです。紅子ちゃんがどうしてもピンクが良いと言うので」
「ピンク、好きか」
「僕はそこまで」
「だろうな。顔が引き攣ってるぞ」
「まぁ良いんですよ」
仕方なさそうに笑う蒼夜は、近くに座る紅子の頭を少し撫でた。
紅子は気にした風もなく、大人しく撫でくり回されている。
「……」
少し鬱陶しそうに目を細めているのは気のせいだろうか?
繰り返しになって申し訳ないが、この2人もまた、付き合っている。
やはりどういう経緯があっても、この2人が付き合っていることには違和感しかないのだが。
――……人のことは言えないか。
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