第1章

16/35
前へ
/102ページ
次へ
「これが『Physical Support and reinforcement Suit』、略して『PSRS』、通称(Hooligans)だ!!」 そこに現れたのは、人間の形をした機械だった。 しかし、よく見れば中身は無く、人間が着ることで初めて機能するものだと解る。 全体的に鋭くスリムな流線型をしており、モデルはまんまSF映画に出てくるロボットのそれだ。 「素材は軽さと強度を実現するため、フラーレンを主材料にしている。ただそれだけだと耐久耐摩耗に弱いため、様々な合金を使っているな。まぁ、高速を走る乗用車に轢かれた程度では、傷一つつかんよ。 主な機能は、油圧・空気圧・水圧によって身体能力を強化することにある。 背や各部関節にある補助ブースターを用いれば、時速200Kmでの走行が可能だ。 垂直飛びと立ち幅跳びでも、100m程度は軽く跳べるぞ」 嬉々として説明を続ける野乃夏。 スペックの把握は重要なので、オレたちは真剣に耳を傾ける。 「サスペンションにも様々な圧力を利用して、より効率的に力を逃すことが出来る。これ1着で第二新東京市を跳び回れることになるな。 それとおまけとして、頭部に、様々なデータを表示するサインフレーム表示膜と、脳に電気的刺激を与えることで、思考速度を加速する機器を乗せておいた。あまり高級なものではないが、効果はあるはずだぞ。 ついで欠点だが、何よりもコストが凄まじい。1台1億だ。企業のスポンサーがついてくれて正直助かった。 更に、バッテリーが長続きしない。最高消費電力を使いつづければ、60分が良いところだ。ちなみに充電には丸1日かかる。活動不能時間との差は実に24倍だ。 実用化にはまだ時間がかかるだろうがしかし、試作品にしては、限りなく完成に近い一品だ」
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加