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研究室に入って来たのは、頼よりも背の高い、割とがっしりした男だった。
サラサラの前髪を左右に分けたその下には、優しげな瞳が光っている。
「夜音先生、珍しいですね、こんな時間に」
蒼夜が少し驚いたようにそう言うと、この研究室を担当する大学教授、理学博士、夜音拓美 (やおん・たくみ) 先生は快活に微笑んだ。
「《Hooligans》が完成したと、鏡音くんに聞いてねー。で、首尾はどうよ?」
問い掛けに答えたのは野乃夏だ。
「フッ、夜音博士、我々の真の実力証明できるものが完成したぞ」
彼女は《Hooligans》を手の甲でカンカンと叩くと、
「コイツがそうだ」
「ヘェ……最後の調整までうまくいったんだ?」
「みれーがやったんだよ!」
はいはーいっ! と言ったように手を挙げて主張する深鈴に、夜音先生は笑みを濃くした。
「やはり、最終兵器は鏡音くんでも志紀沢くんでもなく、千尋くんだったんだね。緋澄くん、コイツの試験はしたのかい?」
紅子はその質問に、
「……」
まるで無反応だったが、夜音先生は納得したように頷いた。
「まだなんだ? なら丁度よかった。君達に、少し依頼したいことがあってね」
『依頼?』
オレたち5人は、完全にユニゾってしまった。
いや、ユニゾンは2人組用だったか。
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